医療に対するクレーマーにならないための心構えは?

対立するのではなく“協働”しましょう!
医者にかかる10箇条を知ってますか?
認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)、は私たち一人ひとりが「いのちの主人公」「からだの責任者」という自覚を持った「賢い患者になりましょう」を合言葉に患者が自立・成熟し、主体的に医療参加することを目指し、患者と医療者が対立するのではなく、“協働”する医療の実現に向けて活発な活動をしています。COMLは賢い医者のかかり方として「医者にかかる10箇条」として具体的な指針を示しています。

①伝えたいことはメモにして準備
②対話の始まりはあいさつから
③よりよい関係づくりはあなたにも責任が
④自覚症状と病歴はあなたの伝える大切な情報
⑤これからの見通しを聞きましょう
⑥その後の変化も伝える努力を
⑦大事なことはメモをとって確認を
⑧納得できないときは何度も質問を
⑨医療にも不確実なことや限界がある
⑩治療方法を決めるのはあなたです

COMLでは、「賢い老人施設を利用するための10箇条」という啓発はまだしていませんが、団塊の世代が後期高齢者になるころまでには利用者やそのご家族の指針を示すかもしれません。施設の職員が過度な緊張をしてご家族に対応することが不要な状況を醸し出すために、ご家族との“協働”がもとめられています。(特別養護老人ホーム聖徳荘の広報誌に掲載)


病気のときに基礎代謝量はどうなりますか?

基礎代謝量は、一日の総消費エネルギー量のうち、約70%を占めており、主に筋肉や肝臓、脳などが消費しています。
基礎代謝量は一般成人で、一日に女性で約1200キロカロリー、男性で約1500キロカロリーとされています。一般にホルモンをつくる臓器の働きが異常になった場合に基礎代謝量が影響を受けます。
50年位前は各血中ホルモン量を簡単に測定出来なかったので、基礎代謝量を測定してホルモン異常症の存在を推測しました。現在は血中ホルモンの定量が容易にできますので基礎代謝量を測定することはほとんどありません。
基礎代謝量が増加した状態は甲状腺機能亢進症、褐色細胞腫(副腎から発生する腫瘍で、カテコールアミンが増加する)、交感神経の緊張維持(激しい運動時・興奮や緊張時・恐怖や危機を感じている時・頑張って働いている時など)などでみられます。糖尿病や慢性消耗性疾患(悪性腫瘍、慢性感染症、慢性腸炎(下痢)、肝疾患、腎疾患など)に伴うこともあります。厳しいダイエットをしていない・激しい運動をしていない状態で体重が減る時は基礎代謝量増加がみられる病気の存在を疑いましょう。
人為的に基礎代謝量を上げて体重減少をしようとする時には、全身の筋肉量(除脂肪体重)を増加させるような運動をすると効果的です。
発熱時には体温1℃上昇当り代謝量が約13%増加することが分かっていますので、入浴して体温を上昇させることも代謝量の増加につながります。(2016年10月)


介護は在宅か施設か?

昨年9月11日厚生労働省は100歳以上の高齢者が全国で61,568人おり、その87%は女性であると発表しました。女性の方が長生きする理由は大まかに3つあります。第1はホルモンが多い、第2は基礎代謝量が低く環境の変化に適応し易い、第3に自分の生活習慣を見つめ健康に気を遣う傾向があるためと言われています。
文芸春秋6月号に「百寿を達成する12の条件」が掲載されました。その8番目に特別養護老人ホームなどの施設で介護を受けている方が良いということが書かれてありましたので紹介します。
100歳の人は約4割、百五歳で約6割、百十歳で約7割が施設に入所しているそうです。施設に入所している方が高齢者にとって良い理由は、栄養状態が自宅にいる時より格段に改善しているからです。施設では栄養士がきちんと栄養管理しています。入所している方に会いに来る御家族は差し入れする前に介護士・看護師に相談して、施設での栄養管理の利点を推進して下さい。(2016年7月)


いわき市は65歳以上の人が人口の25%を越えたと言いますが、高齢者のインフルエンザ対策を教えて下さい。

今年も10月15日から高齢者に対するインフルエンザワクチン接種が始まっています。対象は市内に住所を有し、(1)接種当日65歳以上の方と(2)60歳以上65歳未満で心臓・じん臓・若しくは呼吸器・後天性免疫不全症候群のために身体障害者手帳1級相当の障害を有する方です。料金は1,200円で、接種医療機関はいわき市のHPに「平成27年度高齢者インフルエンザ予防接種登録医療機関」として掲載されていますので、最寄りの医療機関に申し込んで12月15日(火曜日)までに接種を済ませて下さい。これ以降は任意接種となりますので、接種料金は医療機関によって異なります。
インフルエンザワクチンを接種していても感染を避けることはできませんが、インフルエンザの発症と重症化を避けることができることがわかっています。
インフルエンザを発症することによって重い健康障害に至る危険性の高い人をハイリスク者といい、高齢者・小児・基礎疾患を持っている人が該当します。これらの人々は死亡率が高く特に65歳以上の人では死亡率が高くなっています。
感染を回避するには、インフルエンザの感染経路が飛沫感染であることから、咳エチケットと手洗いなどの手指衛生対策を徹底することが大切です。早めのインフルエンザワクチン接種も重要です。高齢者は免疫能力が低下していますので小児と同様に1カ月の間隔を置いて2回ワクチン接種を受けることを強くお勧めします。公費助成は1回目の接種だけで、2回目は任意接種となり、1回目より接種費用が高くなりますが、「健康投資」という考えで予防接種をすることが、結局いわき市の医療費負担を軽減し多くの人に裨益します。確実に免疫力を高めておけば、約5カ月はインフルエンザの発病や重症化を抑制できるでしょう。多くの人がインフルエンザに対する免疫力を高めておくと、アレルギー反応などでどうしても予防接種ができない乳児のように予防接種の対象にならない人がインフルエンザに罹患することを抑えることができる(集団免疫閾値)ことが解っています。インフルエンザの場合は30~75%の人が予防接種を受けていると、この効果が期待できます。(2016年1月)


今年もデング熱の国内発生はあるでしょうか?
デング熱に罹らないようにするにはどうしたら良いでしょうか?

今年のデング熱の患者数は第27週(7月5日)までで121例ですべて輸入例です。昨年同期の85例の約1.5倍多くなっています。この121例の中に福島県の人が2人いました。そのうちの一人はいわき市の方で、フィリピンを観光旅行した時に感染したと考えられます。幸いこの方が帰国したのは2月でデング熱媒介蚊のヒトスジシマ蚊がいない時期だったため市内発生を引き起こすことはありませんでした。
輸入デング熱の患者さんが多くなると昨年のように海外旅行をしていない人でもデング熱に感染するリスクが出てきます。つまり今年も国内発生する可能性が高く、時期が早まると予想されます。
海外のデング熱流行地域からの帰国後、あるいは海外渡航歴がなくともヒトスジシマ蚊の活動時期に突然の38度以上の発熱に加え、①発疹、②吐き気や嘔吐、③頭痛・関節痛・筋肉痛、④血小板減少、⑤白血球減少、⑥出血傾向(ターニケットテスト陽性)のうち2つ以上を認める時はデング熱を疑います。デング熱は4類感染症の全数把握疾患に分類されていますので、診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届け出なければなりません。海外旅行者では、デング熱の潜伏期間が3~14日であるため、帰国後に発症して患者さん自身が感染を疑い保健所に相談して来て確定診断につながるという場合が少なくありません。
デング熱はヒトからヒトへの直接感染ではありません。最大の予防は蚊に刺されないことです。国内でのデング熱媒介蚊・ヒトスジシマ蚊は朝方から夕方まで吸血します。とくに、早朝・日中・日没前後の活動性が高いという習性をもっています。屋内でも吸血しますが屋外で吸血することがはるかに多いので、蚊に刺されないような(皮膚を露出しないように長袖シャツ、長ズボンを着用し、素足でのサンダル履きは避ける)予防対策を取ることがデング熱の予防につながります。足首、首筋、手の甲などの小さな露出面でも吸血されるので、ディートを含んだ忌避剤を利用することが効果的です。
ヒトスジシマ蚊は、空き缶・庭の鉢植えの皿・水たまり・古タイヤなどの汚れた水の中で増殖できますので、日頃から生活環境をきれいにしておくことが媒介蚊の密度を低くし、感染を拡がりにくくします。もし感染した場合は、自分が感染源とならないように、蚊に刺されないように注意することが周囲の人を感染から守るために重要です。 (2015年7月)


健康診断の結果を今後の健康に活かすにはどうしたら良いでしょうか?

健康診断の結果を生活習慣病の予防や改善に活かすために、皆さんの生活習慣に行動変容を引き出すきっかけとなる情報を的確に提供する方法として、公益社団法久山生活習慣病研究所と株式会社野村総合研究所が共同開発した「健康みらい予報」という生活習慣病発症予測システムを使用することをお勧めします。
「健康みらい予報」では、性別・年齢・身長・体重・BМI・腹囲・空腹時血糖・糖尿病家族歴の有無・高血圧症の有無・運動習慣の有無・喫煙習慣の有無の11項目を入力すると今後10年間に糖尿病を発症するリスクを、性別・年齢・収縮期血圧・HbA1C(グリコヘモグロビン)・喫煙習慣・LDLコレステロール・HDLコレステロール・総コレステロール・中性脂肪の9項目を入力すると今後10年間に心血管病を発症するリスクを、同性同年齢の人のリスクの何倍かという形で示してくれます。ここでいう運動習慣は一日30分間のウォーキングを週に3回程度継続することです。また、喫煙習慣とは一日に0本、1~9本、10本以上の3つに分けてリスクへの寄与に重みづけしています。更にこれらの各項目を正常値に向けて改善したり、運動習慣を身に着けたり、禁煙した場合のシミュレーションで糖尿病や心血管病の発症リスクがどれくらい改善するか知ることができます。
「健康みらい予報」を活用すると、検査値に異常があったとしても直ちに服薬したりしなくてもリスクを軽減できる手段と目標(値)がわかり、医療費を軽減できる可能性があります。 (2015年3月)

雑 記

高坂クリニックでは、健康診断の検査結果がC、D、E判定の人を対象に「健康みらい予報」を活用して、生活習慣の改善に成功する人が増えるような健康指導を開始しています。現状とシミュレーションの結果が印刷された「健康みらい予報」は、皆さんの健康習慣の獲得に大いに貢献すると確信しています。「健康みらい予報」は将来高血圧症などの発症リスクをも示せるようになると期待されています。


デング熱の国内発生がありましたが今後どうしたら良いでしょうか?

9月19日現在デング熱に感染したことが確認された人は17都道府県で141人となりました。これらの人々は最近外国旅行をしたことがなく、代々木公園や東京近郊の公園などでやぶ蚊の一種のヒトスジシマカに刺されて感染しました。
日本のヒトスジシマカがデング熱ウイルスを持つようになったのは、海外でデング熱ウイルスを持った蚊に刺されて感染した人を刺したためです。海外旅行から帰国した人でデング熱を発症した人の数は近年急増して毎年200人以上になっていましたので、デング熱ウイルスを持って帰国し発症しなかった人も同じ人数くらいいたと考えられますし、昨年8月に笛吹市で蚊に刺されてドイツに帰国した女性がデング熱を発症したことがわかっていましたので、国内発生するのは今年の1月には、厚生労働省も予想していました。デング熱の媒介蚊であるヒトスジシマカの生息域は2010年には青森県まで北上していました。今後、もしいわき市に海外で蚊に刺された人が帰国してきたらねいわき市のヒトスジシマカもデング熱ウイルスを持つようになり、デング熱を発症する人が出てくるリスクがあります。ヒトスジシマカを環境から撲滅することはできませんので、海外旅行していわき市に帰ってくる人は海外で蚊に刺されないようにすること、いわき市民は屋外作業時には長袖シャツ・ズボン姿で、DEETを含んだ蚊の忌避剤を上手に使用して、やぶ蚊に刺されないように注意することが、デング熱に感染せず、また感染者を拡大しない方法です。 (2014年10月)

雑 記

ヒトスジシマカはポイ捨てしたペットボトル・空き缶・タイヤなどの小さな水たまりでも繁殖できますので、いわき市民の環境浄化の意識と行動が、デング熱の感染リスクを低下させるでしょう。ヒト→蚊→ヒト→蚊→ヒトの連鎖を断ち切ることが唯一の予防策です。


高齢者の熱中症について教えてください

総務省消防庁の発表によると、平成25年7月の全国における熱中症による救急搬送人員は7月では過去最多でした。年齢別では65歳以上の高齢者が48.2%と最も多く、次いで18歳から65歳以下の成人が37%でした。戸外で運動などをしている人が多い7歳以上18歳未満の人は14.1%でした。屋内で過ごすことの多い高齢者に熱中症で救急搬送される人が多いのはなぜでしょう。
第一に高齢になると汗をかきにくくなり、体温調節能力が低下し、体内に熱がこもりやすくなります。第二に皮膚の温度感受性が鈍くなり、衣服の調節や冷房の利用などの体温調節手段をとることが遅れがちになります。第三に高齢者は体内水分量が若年者に比べて少ない上にのどの渇きを強く感じないため、水分不足になりがちだからです。
軽い症状としては、めまい、立ちくらみ、こむら返り、大量の汗、唇や舌が乾燥する、元気が出ない、体が熱っぽいといったものがあります。重症になってくると、呼びかけに対し反応がおかしい、会話がおかしいといった意識障害やけいれん、普段通りに動けないなどの運動障害がでてきます。
対策としては軽症では涼しい場所に移動して安静にし、水分を十分にとります。口から水分を取れない時や症状が改善しない時は、医療機関を受診して下さい。重症の時はためらうことなく救急車を要請しましょう。
熱中症を予防するには、暑さをさけ、こまめに水分を補給することです。高齢者は温度感受性が鈍いので、温度計や湿度計で部屋の温度や湿度を確認して、部屋の風通しを良くしたり、扇風機やエアコンを上手に使うようにしましょう。
熱中症は体調の悪い時やまだ体が熱さになれていない時にも起きますので、休養・栄養・睡眠を良くとって体調を良好に保持することも重要です。
消防庁熱中症情報 http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/fieldList9_2.html で、
熱中症による救急搬送状況を知ることができます。(2014年8月)


風疹(風しん)が、これまでになく大流行しているそうですが、どうすれば良いでしょうか?

「NHK NEWS WEB」の「ストップ風疹」というサイトの情報によれば、6月2日現在全国の風疹患者数は9408人と昨年1年間の患者数の約4倍になっています。患者の約9割は男性で、そのうち20~40代が8割を占めています。関西と首都圏を中心に全戸奥で感染の拡大が続いており、福島県でもこれまでに23名の患者(いわき市はそのうち9名)が発生しています。
風疹に対する抗体を持っていない女性が妊娠中に風疹にかかると赤ちゃんに難聴や心疾患・白内障・緑内障などの障害(先天性風疹症候群)が起こる可能性があります。風疹の予防をするために、風疹の定期予防接種対象者は(1歳時及び小学校入学前の1年間の幼児)、無料で予防接種を受けられます。 風疹ワクチン、麻疹風疹混合(MR)ワクチンは生ワクチンのために、妊娠中の女性は予防接種を受けられません。そのため抗体を持たないまたは低い抗体価に妊婦は、可能な限り人混みを避け、不要不急の外出を控えるようにしなければなりません。また、妊婦の夫・子ども・その他の同居家族などは風疹を発症しないように予防に努めなけらばなりません。更に、10代後半から40代の女性で妊娠を希望している人または妊娠する可能性の高い人で、抗体価が十分であると確認できない人は、任意での予防接種を受けることが推奨されます。
いわき市では市民が予防接種を受けやいように、7月より、接種を希望するいわき市民へのMRワクチン又は風疹ワクチンの接種費用助成事業が始まります。 対象者は接種日にいわき市に住民票があり、妊娠を予定または希望している女性と、妊娠している女性の配偶者(婚姻関係は問わない)人です。 風疹にかかったことのある人と風疹予防接種を2回接種した人は対象になりません。助成期間は、平成25年4月1日から平成26年3月31日(既に接種した人には、 費用が償還されます。)助成回数は、ひとり一回です。)

雑 記

風疹に関するわかりやすすく、最も新しい情報源は、http://www3.nhk.or.jp/news/stopfushin/ が良いと想います。
「風疹ワクチンの安全性は?」や「ワクチン接種後に妊娠が分かったら?」というようなQ&Aもあり、皆さんの不安が解消されるでしょう。


今年のインフルエンザの流行はもう始まったのでしょうか?
これからどう対策すれば良いのでしょうか?

インフルエンザは、毎シーズン国民の5~15%が罹る病気で風邪とは異なり、急に始まる38度以上の高熱、咽頭通、頭痛、関節痛、筋肉痛、咳、全身のだるさなどの症状があるのが特徴です。高齢者では肺炎や脱水症、もともとある持病の悪化などで、小児では急性脳症などで重症化する危険率の高い感染症です。 厚生労働省の発表によると、11月4日現在で既に福島県を含む11都道県で学校閉鎖や学級閉鎖が行われています。インフルエンザの重症化の予防にはインフルエンザワクチン接種を受けることが推奨されます。
A型インフルエンザの流行のピークは早い年では1月21日、遅い年でも3月11日ですので、12月初旬には予防接種を済ませておくようにして下さい。高齢者施設では施設利用者並びに職員の全員が一般家庭でも同居している家族の全員が予防接種を受けておくと集団感染の機会が減少します。
いわき市では、ユニセフの支援を受け「小児インフルエンザ予防接種助成」をしています。生後6ヵ月から13歳未満の子供には1回目・2回目の接種の双方に対し2,000円を上限として、13歳以上の中学生には1回目のみ2,000円を上限として、接種費用を助成しています。ただし接種費用助成期間は、平成25年1月31日までです。
定期接種の65歳以上の高齢者と60~64歳の一級相当の障害者には、自己負担額を1,200円にする予防接種費用の助成をしていますが、助成期間が12月15日までですので、まだ予防接種を受けていない高齢者は急いで予防接種を受けるようにして下さい。
インフルエンザに罹った時には、「咳エチケット」を実施して、できるだけ早く抗インフルエンザ薬による治療を受けて下さい。(2012年12月)

雑 記

厚生労働省は11月4日に『平成24年新型インフルエンザの診療に関する研修~今後発生が予想される病原性の高い新型インフルエンザに備えて~』を全国から500人の関係者を集めて行いました。パンデミックに備えた周到な事前準備と早期発見・早期対応が被害の最小化に有効と考えているためです。


電力不足が予想されている中で暑い日が続いています。熱中症は増えているのでしょうか?特に高齢者ではどんな注意が必要でしょうか?

総務省消防庁の発表によると、熱中症のために救急搬送された人の数は7月になってから急増し7月の累計数は18,070人と過去最高となりました。また、仙台気象台の長期予報では平年より高い気温の確率が40%以上ですので、今後も熱中症予防には十分注意が必要です。全国では熱中症で救急搬送される人のうち、65歳以上の高齢者が43%と最も多い割合を占めています。福島県では47%と半数近い人が高齢者です。
 気温が高い時間帯は10時頃から午後7時頃までと長時間なので、予防には、
①日傘や帽子を使ったりして日差しを避ける。
②水分補給用の飲み物をできれば冷たくして持ち歩き、こまめに補給する。
③節電を意識し過ぎないで、エアコンや扇風機を使用する。
④睡眠・食事をきちんととることが大切です。
 高齢者は体温を調節する働きが低下しているうえに、暑さや水分不足を感じにくいため、日常生活の中で発症する人が多くなっています。また独り暮らしであったり、認知症があったりして、本人や周囲の人に熱中症になったことに気づかれるのが遅れて重症になり易くなっています。東京都監察医務院の調査によると、熱中症が死因だった人で推定死亡時間が明らかな人の約40%が午後5時から午前5時の夜間に亡くなっていたことがわかっています。夜中にトイレに行かないために、水分摂取を控える高齢者が少なくないと思いますが、熱中症死の危険がありますので、水分摂取を促すことが必要です。暑さがピークになる午後2時頃に家族や隣近所の人が、高齢者の様子をチェックし、水分摂取を促すようにする共助コミュニティの形成が必要です。(2012年9月)

雑 記

熱中症に関する情報のうち、天気予報は気象庁、救急搬送状況は総務省消防庁、予防方法と患者発生情報は厚生労働省の「熱中症関連情報」から入手できます。病気の予防は、まず関心を持って関連情報を集め、それらが薦める対策をきちんと実行することが第一です。


「関節リウマチ」といわれました。どういう病気でしょうか?

主に体のあちこちの関節がはれて痛む病気です。進行すると関節が変形して日常生活に大きな支障をきたします。原因はまだ明らかになっていませんが、自分の体の成分に対して抗体を作るようになる自己免疫機構が病気の慢性化に関与していると考えられている膠原病の代表的な病気です。
患者さんの数は全国で約70万人で、男女比が1対4と女性に多い病気です。患者さんの年齢は50~70歳が65%を占めますが、発病は30歳~50歳代が多くなっています。 最近関節リウマチの新しい検査法や治療法が開発・臨床導入されてします。その結果、できるだけ発病早期に関節リウマチと診断し、直ちにきちんと病気の勢いをコントロールされた治療を受けると、炎症が直ぐに鎮静化されるだけでなく、関節骨の破壊を起きなくしたり、一度破壊された関節骨を元に戻すことができるようになって来ました。
①朝、手がこわばる。
②関節が左右対称性に腫れている。
③腫れて痛い関節が3つ以上ある
時にはできるだけ早く医師に診てもらい、
リウマチ科を標榜している医療機関での診療に繋げてもらいましょう。 関節リウマチの患者さんは、薬による治療に加えて、心身の安静と適度な運動の励行、関節に負担をかけない日常生活動作の工夫など、日頃から患者さん自身が関節機能を維持・保護するような生活に積極的に取組むことが非常に大切です。(2012年6月)

雑 記

6月は「リウマチ月間」です。日本リウマチ財団の「リウマチ情報センター」を検索すると「リウマチ登録医の所属する医療機関」、「リウマチQ&A」、「登録リウマチケア看護師名簿」などの患者さん向けの情報が容易に入手できます。また、「日本リウマチ友の会」のホームページからは、精神的経済的、社会的に多くの問題を抱えた患者さんの立場に立った、多方面にわたる判り易い情報を得ることができます。関節リウマチについて知ることは、関節リウマチ治療の第一歩です。


今年のインフルエンザの流行はもう始まったのでしょうか?
これからどう対策すれば良いのでしょうか?

インフルエンザは、毎シーズン国民の5~15%が罹る病気で風邪とは異なり、急に始まる38度以上の高熱、咽頭通、頭痛、関節痛、筋肉痛、咳、全身のだるさなどの症状があるのが特徴です。高齢者では肺炎や脱水症、もともとある持病の悪化などで、小児では急性脳症などで重症化する危険率の高い感染症です。
国立感染症研究所の発表によると、11月17日現在ですでに山口県・横浜市・茨城県・三重県・兵庫県の幼稚園や小学校などにおいてA(H3)亜型あるいはB型インフルエンザウイルスによる集団発生の報告があります。福島県ではまだ集団発生の報告はありませんが、そろそろ流行が始まると思われます。避難生活している方々は、生活環境の激変と不自由な生活の疲れで体力低下していますので、ニュースに十分注意して下さい。
集団発生や重症化を予防するためには、インフルエンザワクチンの接種が推奨されます。特に小児と高齢者では予防接種が強く推奨されています。いわき市では、ユニセフの支援を受け「小児インフルエンザ予防接種助成」をしています。生後6カ月から13歳未満の子供には1回目・2回目の接種の双方に対し2,000円を上限として、13歳以上の中学生には1回目のみ2,000円を上限として、接種費用を助成しています。
ただし接種費用助成期間は、平成24年2月29日までです。定期接種の65歳以上の高齢者と60~64歳の1級相当の障害者には、自己負担額を1,200円にする予防接種費用の助成をしていますが、助成期間が12月15日までですので、まだ予防接種を受けていない高齢者は急いで予防接種を受けるようにして下さい。
インフルエンザに罹った時には、できるだけ早く抗インフルエンザ薬による治療を受けることと、「咳エチケット」を実施して下さい。(2011年12月)

雑 記

福島県では高齢者に対する肺炎球菌ワクチン接種の助成が11月21日から開始されています。平成24年3月31日までに70歳以上になる人が対象で接種費用は無料です。この機会を逃さず予防接種を受けて下さい。


超高齢社会になって認知症の人が更に増えると予想されていますが、認知症になりたくありません。認知症を予防することはできますか?

今年になってアルツハイマー型認知症の治療薬が新たに3種類発売されました。貼り薬もありますので、内服できない患者さんも副作用が少なく治療できるようになりました。しかし認知症の治療薬は症状の進行を遅らせる効果がありますが、認知症の治療薬は症状の進行を遅らせる効果がありますが、認知症をもとの状態に戻したり、認知症の進行を止めることはできないと言われています。
認知症が発症する以前の中年期の働き盛りにおける生活習慣病の厳格な管理が高齢期の認知症の発症予防につながると言われています。
生活習慣が発症に深く関与している病気は、高血圧症、高脂血症、2型糖尿病は高血圧症や脳卒中を合併し易いので中年期に血糖値をきちんと管理しておかないと高齢期に認知症になる危険性が高くなると言われています。
中年期の高脂血症も高齢期の認知症の危険因子になるという報告がありますが、コレステロールを低下させる薬・スタチンの認知症を予防する効果は否定されています。薬で認知症を予防することは難しいようです。抗酸化物であるビタミンCやEの摂取も認知症の発症を減少させるという報告がありますが、これらはサプリメントで摂取しても効果がなく、食物として野菜や果物から摂ることが必要です。緑茶の摂取、カロリー制限、禁煙、運動習慣、積極的な社会参加や余暇活動も認知症の予防に有効との報告があります。赤ワインに含まれるポリフェノールにも認知症の予防効果があるといわれていますが、アルコールは過度に摂取すると認知症を発症するので注意が必要です。
急速に進行する超高齢化社会を生きる我々には、一朝一夕に認知症を予防する方法がまだありません。つまり、中年期から健康を害さないような生活習慣を辛抱強く実行することが、高齢化の認知症発症の危険性を少なくします。老年病対策は、成長期が過ぎた直後から開始しなければなりません。『ローマは一日にしてならず』です。(2011年9月)

雑 記

いわき市はほとんどが福島第1原発から30km圏外ですが、低レベル放射線の長期間の影響を心配している人が多いと思います。広島で被曝した時13歳以上であった1,774人が45~50年後に認知症を発症したかどうか調査したところ、被曝線量と認知症の発症には有意な関係がないことがわかりました。いわき市の現在の環境放射線量が将来いわき市の認知症を増加させることはないと考えて良いと思います


老年内科は一般内科の診療とどう違うのですか?

わが国では優れた医療体制や国民の高い衛生思想に支えられて、女性の平均寿命は86.4歳と世界一ですし、男性の平均寿命も世界第5位で79.59歳に達しています。そして人口の約20%は65歳以上の高齢者です。75歳以上の後期高齢者も人口の9%を占めるようになっています。さらに、2025年には高齢者の人口が全人口の25%を占めると予測されています。人数も多く成人とは多くの点で異なっている高齢者の診療に際しては、高齢者の心身の特性を良く理解して対応しなければなりません。高齢者の特徴としては、以下のようなことが挙げられます。
① 一般に病気にかかりやすい。(抵抗力が低下している)

② 一人で多くの病気を持っていて、その多くは慢性の病気です。また身体の病気ばかりでなく、認知症などの精神活動の低下も来たしています。

③ 病気になった時(発症時)に、症状が乏しかったり、非定型的であるために治療開始が遅れやすい。

④ 病気になると回復が遅く、合併症を起し易く、機能障害・能力低下を残し易い。そのため病気になるたびに日常生活動作(ADL)が低下する。(継続したリハビリテーションが不可欠)

⑤ 薬剤に対する反応(効果)が成人と異なり、副作用が起こり易い。

⑥ 高齢者は個人差が大きい。決まりきった画一的な対応ではなく、一人ひとりに個別的な対応をする必要があります。

 小児科の診療が内科の診療と違うように、老年内科は成人の内科の延長ではありません。高齢者に、より自立(自律)した、生活の質(QOL)の高い健康寿命を一日でも長く維持してもらえるように、社会医学、予防医学、再生医療のような先端医学をも駆使して、多くの医療関係者が一人の高齢者のために必要な力を結集して提供するのが「老年内科」の診療です。(2011年6月)

雑 記

少し前にNHK/TVで放送になった「坂の上の雲」の原作者である司馬遼太郎は1996年2月12日に腹部大動脈瘤の破裂で、72歳で急逝しましたが、彼は1993年5月頃から激しい腰痛に苦しんでいたにも拘わらず、その原因を坐骨神経痛と自己診断して医療機関を受信しなかったそうです。もし生きていれば今回の東日本大震災とその後の原発事故について、どの様なコメントをして、未曽有の複合災害からの復興に寄与しただろうかと思うと、一人の日本老年医学会の老年病専門医として残念でなりません。


高校2年生です。海外へ修学旅行にいくことになりました。
どんな注意が必要ですか?

福島県では平成10年から公立高等学校でも海外へ修学旅行ができるとし、平成21年までの実績は32校でした。浜通りの高等学校の実績は6校で、これまでの行先は韓国と台湾でした。海外への修学旅行で気をつける健康問題と注意点について、出発前・旅行中・帰国後に分けて説明しますので、『自分の体は自分で守る』を実現して下さい。
1.出発前にすること
①現地の情報を集める
 厚生労働省検疫所の海外感染症情報 FORTH http://www.forth.go.jp/
 外務省海外安全ホームページ http://www.anzen.mofa.go.jp/
 などから現地の最新情報を集め、注意・警告などを確認しておきます。
②免疫力を高める
 規則正しい生活を心がけて、免疫力を高めます。
③携行薬の準備

 花粉症の薬、風邪薬、胃腸薬、酔い止め、喘息の薬、生理用品など日頃使用している薬を用意します。白い粉薬は麻薬と間違われる恐れがありますので、出来るだけ錠剤で準備します。

④予防接種の実施状況を確認し、必要な予防接種を出発の一ヵ月以上前までに受けておきます。今年は、高校二年生が修学旅行などで海外へ行く際に、はしか(麻しん)の予防接種を受ける場合、公費で費用が賄われることを「麻しん対策推進会議」が決めました。日本がはしかを輸出しているという批判に対する具体的な対応で、今年だけの対策です。

2.旅行中の注意
①ロングフライト症候群や時差ボケ対策をします。<

②海外で感染症にかからないように注意します。 生水を飲まない、充分に熱を通していないものを食べない、蚊に刺されないようにする、動物に咬まれないように直接触れないなどです。

③ほう・れん・そう
旅行中不調を感じたら、ためらうことなく随行の先生に報告・連絡・相談する。

3.帰国時・帰国後の過ごし方

①旅行中や帰国後に下痢・発熱・腹痛・頭痛などの症状がある時には検疫所の職員に隠さず申告します。

②海外で感染症にかかってもすぐ症状が出ないことがあります。帰国後約2ヵ月間は、医療機関を受診する時、海外旅行をして来たことを医師や看護師に知らせて下さい。正しい診断をするための大きな助けになります。


高校生は将来海外へ行く機会が何回もあるし、高校生がグローバルな時代に対応できるように感染症の一般的な予防策の基礎知識を得て、健康に関する国際的な視野を広げてもらうために、高坂クリニックでは、「旅行医学出前講座」開催の積極的協力に取り組んでいます。(2011年3月)

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健康診断で尿酸値が高めでした。
どんなことに気をつければいいでしょうか?

尿酸値の結果が7.0mg/dl以上の時、「高尿酸血症」と言います。尿酸が高くなる原因は大きく分けて、体の中で尿酸が多く作られる(尿酸再生量の増加)場合と、尿酸が体の中から排泄されにくい(尿中尿酸排泄の低下)のふたつがあります。高尿酸血症の患者さんは年々増加しており、現在は男性の20%、女性の1~3%と男性に多い異常です。高尿酸血症を放置すると尿酸が沈着して、関節炎(通風発作)を起こしたり、通風結節や尿路結石による腎障害などを起こします。高尿酸血症の人は心血管疾患や脳血管疾患になる危険性が高く、80%の人は、肥満、高血圧症、高脂血症、耐糖能障害などの生活習慣病を合併していると言われていますので、体格指数(BMI)※や尿酸値以外の検査値に異常がないかを慎重に検討してもらって下さい。尿酸値が8.0mg/dl以下の場合は、食事療法(過食、高プリン・高タンパク・高脂肪食嗜好を避ける)・飲酒量の制限・適切な運動療法などの生活習慣の改善で様子を見ます。尿酸値が8.0mg/dl以上で腎障害・尿路結石・高血圧症・高脂血症・耐糖能障害がある場合は生活習慣の改善に取り組むとともに、尿酸値を降下させる薬を服薬する必要があります。ザイロリック・アロシトールのような尿酸生成を抑える薬とユリノーム・ベネシッド・パラミジンのような尿酸排泄を促進する薬とがあります。尿酸排泄促進薬を服用する時には、尿路結石を防止するために尿アルカリ化薬を併用する必要があります。プリン体の多い食品は、鶏レバー・マイワシ干物・アンコウの肝・干椎茸・牛レバー・豚レバー・カツオ・マイワシ・大正エビなどです。プリン体の少ない食品はコンビーフ・魚肉ソーセージ・蒲鉾・豆腐・牛乳・鶏卵・ひじき・わかめ・こんぶ・とうもろこし・米飯・パン・うどん・そばなどです。尿酸値に影響しない飲酒量は、一日当たり日本酒で1合、ビールで500ml、ウイスキーで60ml以下ですが、常習飲酒者には実行困難かもしれません。(2010年6月)

※体格指数(BMI)とは肥満・やせの基準で、22~24が適正とされています。
 BMIの計算式 (体重kg)÷(身長m)×(身長m)

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